この前、お友達に借りて観た映画がとっても素敵だった。
Les Nuits de la pleine lune
『満月の夜』
エリックロメール監督作品 1984年公開
ルイーズを演じるパスカルオジェの大きすぎる瞳と少女のような高い声と
華奢な体つきが物悲しさと軽やかさを出していて、
彼女自身が内装や衣装なども担当したというとっても可愛い映画!
1984年の冬のパリ
私が生まれる前 33年前のパリ
「コーヒー飲む?」っていう決まり文句は変わらなくても飲むものは違う。
あの頃はネスプレッソもなくておうちではインスタントコーヒーだったんだなぁ
今はどこでもネスプレッソ 日本でもあの頃はインスタントだっただろうな
パリと郊外がこの映画の舞台で、パリのシーンでは、あ、あの広場、と場所がわかってしまう自分にびっくり!
KENZOの事務所が入っていた、ヴィクトワール広場近くのアパルトマンが彼女の仕事場。今はもうKENZOは入ってないのかな、
古い建物を大事にしているパリだから、今と昔は一見あまり変わっていないようでも、中身はすぐに移り変わっている
そんなことを映画を観てパリを見てよく感じる。
ルイーズのファッションがなんとも不思議なんだけど、少し経つと可愛く見えてくる不思議。
無造作な(パリ的無頓着?)なお洋服に、フランス人あるあるのパーマなのか天然なのかわからない髪は
超ロングでものすごいボリュームで、それをシフォンかオーガンジーかのサッシュターバンでまとめている
前髪はポンパドール風。
そして終始持っているバッグが激可愛いのです。
そしてお化粧は結構ばっちり。
このバランスはすごくて、あっぱれ〜 と思う
なんでも好きなものを合わせたちゃえばいいいね
そしてインテリアもとてもかわいいのです
彼女のお部屋は2つあって一つは恋人と住んでいる郊外のアパート
もう一つはパリ市内の仕事場の近くの自分一人のアパート。
二つのアパートは暮らすひとを反映しているような感じがして面白かった
(もともと、ひとのくらし、というのが大好きな私だから?かしら)
一人暮らし 二人暮らし 同じひとが住んでいたとしても雰囲気は似ているようで変わっている。
恋人とのアパートはブルーを基調にした爽やかで、男性的な部分も入っていた。
すごく印象的だったのはブルーのモンドリアン
彼女と彼が口論(までいかないかな?)をしているとき
後ろにはモンドリアンの絵があって、でもあのいつもの配色ではなくてブルー調だったのがすごくすてきだった
ここは、二人の趣味が混ざった恋人同士のアパルトマンという雰囲気
パリのアパートは
作り始めるところが映画の中に組み込まれていて
工事中のシーンから、内装が出来上がり一人で生活をするシーンまであります
ルイーズが一人で作り上げたので、もっとゆるくてでも個人的な趣味が現れているかんじだった
ちょっとチープな雰囲気があったり色使いが絶妙だったり。
そしてどちらの家にもお花があった。
話しているひとの後ろに綺麗に生けられたお花に目が行ってしまっていた。
借りたDVDはフランス語で、話の内容はほとんど推測だったけど。
映画は目で見れるんだなぁ (多分日本語だったらもっとちゃんとわかってただろうけど)と思った
たくさんの男の人に囲まれているのに自由でいたくて選ばなくて選べなくて
一番安定していると思っていたものを失う。一番美しいときの女の人はいつでも痛い目を見るような気がする。
満月の夜に犯した過ちから抜け出して温かい場所に戻ったはずなのに
夜が明けたら
一気にやさしい温もりを欠いて悲しみで満ちる
でもルイーズは最後の最後で電話をする
それはまだきっと若い弱さで、変われない女を連想させる
しかも、ルイーズを演じたパスカルオジェはこの映画の公開後間も無く25歳の若さで急逝してしまったみたいで
これが遺作になってしまったそう。
ルイーズとパスカルはきっと違う女の子なのに、
私の中ではその若い強い儚さが現実と映画の中と混ざってしまってなんとも悲しい気持ちにもなった
でもエリックロメール作品は、冬を描いても夏を描いても
情景が美しくて好き
日本に帰ったらまた日本語で見直したい